戦争抑止が可能かどうか、わたくしは憲法、国民意識、マスコミ、言論の自由について考察をしてきましたが、最後に、「左翼政党と労働組合」についても、簡単にですが、考察しておきます。
 戦後長い間、日本の反体制運動の中核として大きな役割を果たしてきたのは、なんといっても、左翼政党と労働組合でしょう。
 社会党や共産党、そして総評・日教組の存在は、保守勢力の反動攻勢から平和と憲法を守る上で大きな役割を果たしてきたと言えるでしょう。
 しかし、政界では、当時、「共産党除き」が露骨に行われ、左翼政党の社会党が、「社共」路線から81年の「社公合意」以来、急速に「現実路線」へと転換し、後の「社公民」路線転換へと突き進んでいくことになる事実は、反戦平和の闘いにとって、極めて大きな支障をもたらしました。
 また、労働界においても、総評が解体へと向かう兆しをみせ、代わって、「連合」という新たな組織が急速に台頭し始めました。この解体と台頭には、労働運動そのものの在り方をみるかぎり、是非如何一考を要するものがありますが、反戦平和の闘いという観点においては、大きな障害であり、退潮であることは否めません。
 左翼政党と労働組合の2本柱の崩壊への歩みは、「護憲平和」を志向する人々にとって、計り知れない打撃となりました。

 以上、こうして、日本が戦争に関与する国家体制の確立に向けて動き出し、やがては、現実に戦争に関与する危険が大きいとの、わたくしの危惧に対して、今は、戦前とは全く異なった戦争抑止の諸要素・諸条件が整っているので、もう二度と日本は戦争には関与しない、という反論について、考察を重ねましたが、いずれも、「平和の砦」足り得ないとの結論が導き出された次第です。
 

さて、次の考察は、「言論の自由」についてです。これも、わたくしの危惧をまともに受け止めない多くの人々によって、「平和の砦」として頼りにされているものです。
 確かに、日常生活の中で、政治を論じても、政府批判を厳しく口にしても、権力の恐怖を味わうことは今の日本ではありません。
 従って、例えば、自衛隊や民間部隊が報復攻撃を受けたり、沖縄がミサイル攻撃を受けたりという事態にでもなればともかく、まだ米軍の後方支援を開始する直前の時点で、しかも、ある日突然に米軍が軍事行動を開始した場合など、まだ言論の自由は十分に機能することでしょう。
 しかし、政治家の場合にも述べた事ですが、北朝鮮との軋轢が日々を追って激しくなっていき、北朝鮮への反感や不信が国民の間に広がりをみせている状況では、言論の自由を行使するにもよほどの勇気と覚悟が求められることになるでしょう。反戦平和を唱えることは、軟弱であり、無責任であり、偽善であるとして、非国民・国賊という言葉さえ投げつけられるに至るでしょう。
 そして、事は、そうした社会的風潮だけの問題では済まないと思われます。今後ガイドライン法案が成立した以降は、いわゆる「有事体制の確立」に向けて本格的な主張が展開され、その中で、言論の自由も一定の制限を設けることが取り沙汰されると思われます。その場合、勿論解釈改憲という形がまず行われ、やがて、憲法改悪が俎上にのぼることでしょう。言論弾圧の法制化という恐るべき事態の到来です。
 そして、ここで一つ忘れてはならないのは、そうした言論弾圧の法制化の中で、天皇の国家元首化も進められ、それが成就されれば、事実上の参戦という事態に至る以前の時点で、現天皇ご自身がそれを望まれるか否かはわかりませんが、客観的には、天皇が、国策の最高遂行者として君臨し、反戦平和を唱える者は、政府に抗するばかりか、超越的存在としての天皇にも背く者であるとの観点から、強い糾弾を受けることになるという事です。
 勿論、そうした天皇を批判することは、現在も確固として存在する「天皇制タブー」が一段と強化された状況の下ではまずは不可能でしょう。よしんば、そのように、過酷な状況の中で、たとえ勇気と覚悟をもって、国家元首としての天皇批判・反戦平和の声をあげたとしても、国民的コンセンサスが形成されていなければ、それは少数意見として政治の場で斥けられるだけに終わるでしょう。とにかく、この国では、あの60年安保の際にも、「声なき声」と言って、国会を取り巻く多くの国民の意志は、無視されたほどですから、たとえ言論の自由が、過酷な状況の下で勇敢にも行使されたとしても、それが「戦争の抑止」に効果を発揮することは、残念ながら、ほとんど期待できないと思われます。


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