ところで、そもそも、当初の戦争関与は、どのような目的をもつものでしょうか?
 これは理念的位相と現実的位相の両面で指摘することができます。理念の上では、やはり共産主義体制・独裁国家体制から、自由主義体制を守るという思想的主張がなされるでしょう。また現実の上では、同盟国・韓国を、北朝鮮の侵略攻撃から守るという大義名分が語られるでしょう。

 次に、戦争関与の理由――なぜ日本は、戦争に関与することに至るのか? この問いに対する答えは、日米同盟の強化という観点と日本自身の大国主義・覇権主義の台頭という観点から説明することができます。
 日本が経済大国として一国で、世界に独立した座を占めるに至った当時、「ジャパンアズナンバーワン」との声が頻りに上がり、ナショナリズムもまた昂揚しました。その経済大国にふさわしいとされる国家像が保守反動派の政治家や知識人たちによって語られました。朝鮮半島における紛争に日本が積極的に関与する姿勢を示した背景には、この日本独自の国家意識の急速な形成があったとみなすべきでしょう。この大国主義・覇権主義はしかし、同時に、同盟国であるアメリカとのより緊密な関係の構築を求めるものでもあります。最終的には、日本のナショナリズムがどこに向かうのか、大いに注目せねばなりませんが、当面は、アメリカの核の傘の下にいるかぎり、その弟分としての分をわきまえつつ、できるかぎりの責務を遂行し、軍事的にナンバー2の座を確保したいと欲することになるだろうと、わたくしは憶測しておりました。この日本の立場は、米中関係の改善という新たな事態によっても、日本の支配層には、大きな危機感とともに、確認されたことでしょう。

 こうして、わたくしは、12年前の1987年春、日本が再び戦争に関与する国家体制の確立を志向し始めたことを指摘し、警告を発した次第です。

 しかし、当時、一般的には、日本が戦争に関与する事態などあるはずがない、という空気が支配的でした。
 平和憲法があり、平和国家・民主国家として戦後を歩んできた日本が、再び戦争に関与することが有り得るか――これが、一般の認識でした。
 しかし、この通説――<神話>は、わたくしにとっては、すでに20代に崩壊しておりました。
 わたくしは、学生時代の教科書において、日本が過去の歴史の侵略戦争と天皇制軍国主義を超克して平和と民主主義に徹する道を歩んできたと教えられ、そう信じておりましたが、それは甚だ欺瞞的な状況認識・時代認識であると、いつの頃からか、思い知ることとなりました。
 

★日本が関与する戦争の実態
 わたくしが最も恐れ、現実に起き得ると予測していたのは、やはり朝鮮半島での紛争勃発です。北朝鮮からの韓国への侵略という形か、韓国の北朝鮮封じ込めと陰謀という形か、事態は流動的に思えておりましたが、とにかく朝鮮半島で紛争が勃発する危険を憂えておりました。勿論、ベトナム戦争後のベトナムにせよ、台湾にせよ、ビルマ(現ミャンマー)にせよ、インドネシアにせよ、アジアには不安定要素が幾つもありますが、とりわけ、朝鮮半島は、危険な火種と認識しておりました。しかも、日本が紛争に関与する可能性の大きさから言っても、朝鮮半島における紛争勃発は、極めて重大な意味をもっていると、認識していた次第です。
 では、日本が朝鮮半島での紛争勃発に際して、軍事的に関与する形とは、どういうものでしょうか?
 わたくしが予測したのは、当初は、<アメリカの軍事行動への協力>という形です。勿論、それは、過去の朝鮮戦争やベトナム戦争の際に、本土復帰前の沖縄基地を提供した以上の<協力>、事実上の参戦行為となるであろう<協力>という形です。言わば、<連合軍>とでも称すべきより踏み込んだ形です。具体的には、横田や三沢など本土内の基地の提供や民間施設の利用、燃料補給・武器弾薬の輸送といった紛争地域での米軍の行動への補助活動など、後方支援と言うには、あまりにも紛争に深く関与する形です。紛争当事国の相手(敵国)側からみれば、報復攻撃の対象として認識され位置づけられる行動を、日本は、アメリカ支援の立場から、積極的に取ることになるだろうと、わたくしは考えました。
 しかし、紛争に軍事的に関与する形は、決して、これに留まるものではありません。より深刻で重大な局面が予測されました。
 それは、前述しましたが、紛争の当事国の相手(敵国)からの報復攻撃を受けた場合の話です。
 万が一――しかし、それは大いに有り得る事ですが――、北朝鮮から日本海上の自衛隊艦船が攻撃されたり、日本本土内の基地が攻撃されたり、東京や大阪など大都市圏が攻撃されたり、とりわけ、皇居にミサイルが被弾したり、といった直接の攻撃を受け、戦火が上がり、人命を失う、それも民間人に犠牲者が出るという事態が発生したら、日本政府ならびに日本国民の大多数はどのように反応するだろうか……。
 わたくしは、具体的にこのような状況を想定して、日本が或る局面に立たされた場合、全面戦争へと容易に傾斜していくことを、確信致しました。


Selected Entry

ペンションメルヘン

八ヶ岳 B&B・ペットOK ペンションメルヘン

Calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

Archive

Recommend

Mobile

qrcode

Comment

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM