さて、国民の意識感情の問題でさらに二つ指摘しておかなければならない事があります。それは、「時代状況への逼塞感」と「どうせ自分が反対しても、世の中変わらないという虚無感・無力感」です。
 この両者とも、状況を反戦平和の方向に動かすのではなく、戦争に向かって突き進ませてしまう点で、無視し得ない現象です。
 尤も、12年前の当時は、客観的な状況としては既に、こんにちに繋がるかなり深刻なものがあったのですが、国民一般の精神的実態としては、閉塞感、虚無感・無力感のいずれも、さほど顕著ではなかったと言えます。
 しかし、わたくしは、遠からず、国民にこの「病」が浸透していくであろうことを、憂えておりました。実際、政治不信という形で、それは間もなく広く浸透し始めました。そして、今や、平和の問題に対してではありませんが、選挙における異常に低い投票率となって表れる政治不信は、どん底ともいえる深刻さを呈しています。
 現在既にこのような状態にあることを考えると、今後実際に朝鮮戦争が勃発し、アメリカが大規模な軍事介入をして、日本の協力と参加を強く求めるに至った時点では、その逼塞感と虚無感・無力感は、ほとんどの国民の心を強く支配せずにはおかないと思われます。
 

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